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最新:甲状腺眼症治療用IGF-1R阻害剤テッペーザ 製造販売承認を取得

甲状腺眼症治療用IGF-1R阻害剤テッペーザについて情報更新しました

甲状腺眼症治療用IGF-1R阻害剤テッペーザ 甲状腺眼症治療用IGF-1R阻害剤であるテッペーザ(一般名:テプロツムマブ)が製造販売承認を取得しました。

テプロツムバブは甲状腺眼症治療薬として開発された抗インスリン様成長因子−1受容体(IGF-1R)モノクロナール抗体で、眼内炎症を抑制する働きがあります。 本薬剤は3週間間隔で計8回点滴静脈するお薬です。
甲状腺眼症では、眼窩(眼の後ろのスペース)内の脂肪細胞増生や外眼筋の肥大化が起こり、眼瞼腫脹、眼瞼後退(まぶたが腫れぼったくなり、大きく開いてしまう。)、眼球突出(眼が飛び出してくる)、眼球運動障害(眼の動きが悪くなり、ものが二つ見える。)などの症状が発生し、重篤な場合は視神経障害から視力低下をきたすこともあります。これまでの治療法はステロイド剤の投与が主なものでしたが、副作用の発生には十分留意する必要があり、またパルス療法の場合は入院が必要な場合があります。

今回製造販売承認を得たテプロツムバムは薬剤により眼窩炎症を抑制し、ステロイドの全身投与に比べると副作用が少なく、外来ベースで治療ができる薬剤です。また甲状腺眼症の特徴的な症状である眼球突出は、これまで治療が困難でありましたが、本薬剤は眼球突出を改善させる画期的な効果を持つことが示されています。

テプロツムマブは2020年に米国FDAで承認された、これまで約2万人以上の患者さんに使用されてきました。グローバルでは活動性のある甲状腺眼症のファーストライン治療(まず一番目に行われる治療)になってきております。
追加情報

当薬剤は成人に適応されます。米国および日本国内では、これまで20歳以上の患者さんに投与されてきました。20歳未満の患者さんへの使用経験はないようです。️
(★)これは成長ホルモンの成長促進作用が、主としてインスリン様成長因子(IGF-1)を介するためです。
眼球突出に対する奏功率が80%以上で、眼窩減圧術の適応患者さんが大幅に減少することが期待できる薬剤ですが、使用上の注意点があります。 それは、
1)聴覚障害、2)高血糖、3)避妊です。副作用による投与中止例は多くはありませんが、聴覚検査や血糖測定が必要です。 また上記(★)の理由で、避妊が必要です。

American Thyroid Association and the European Thyroid Associationの甲状腺眼症治療のコンセンサスでは、眼症状の活動性低下と複視の改善、眼球突出の改善、眼球運動の改善のための推奨される治療にテプロツムマブが推奨されています。特に眼球突出改善治療の選択肢は、活動期ではテプロツムマブのみとなります。(非活動期には眼窩減圧術が入ります。)

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