近年、近視の人口はアジアを中心に世界的に増加傾向であり、特にこの数十年で急増しています。日本では人口の約8割が近視であり、進行は身体の成長が止まる18歳頃まで継続します。
近視の発症・進行は遺伝的要因と環境要因によるとされ、近視人口の増大には環境要因の変化による影響が考えられています。
近視の中でも病的近視と呼ばれる度数の強い方は、網膜の病気や緑内障などになりやすく、将来失明の危険性もあります。
現在、近視抑制治療にはいくつかの方法が報告されていますが、その中で低濃度のアトロピンという薬を点眼する方法は最も有効な治療法であることがわかってきています。
この治療法については、これまでシンガポール、台湾、米国で有効性を示す結果がいくつか報告されておりましたが、先日京都で行われたAPACRS(アジア太平洋白内障屈折矯正学会)で、日本人を対象に行われたATOM-J studyという研究結果から、低濃度アトロピン点眼が有意に近視度数の進行抑制、眼軸長(眼の長さ)の延長を抑制し、またこの治療法の安全性も証明されているとの報告がありました。
低濃度アストロピン点眼は今後期待される治療法ですが、現時点で使用できる点眼薬はシンガポールで製造されている「マイオピン」のみとなります。
自費診療とはなりますが、すでに多くの患者さんがお使いになっております。
治療効果や投与期間、投与中止後のリバウンドなどに個人差はありますが、当クリニックでも本治療を提供することができます。Wuらの報告に基づき、半年毎に近視抑制効果があるか検査する方法を採用しておりますので、ご希望のある患者さんは、遠慮なくお問い合わせ下さい。
また、近視の進行抑制に屋外の環境光が重要であることがわかってきています。
1日のうち一定時間は屋外で活動することも推奨されております。